売った後の営業はサービス部門の仕事です(RICOHの対応の良さ)。

 2月7日に訃報が届き、東京に通夜・葬儀に出かけた機会に銀座のRICOHのカメラサービスセンターに初代GRDを持ち込んで2年前に完全に死んだアジャストダイヤルのプッシュ部分を直し、ついでにサービスセンター窓口でなければ対応してもらえないシャッターボタンの反力調整とか、レンズのロゴのブラックアウト化も検討することにした。

 そもそも私がGRD3を2010年5月に購入したのは、それまで使ってきた初代が、何度もの修理を経て、いよいよ臨終が近いと感じたからだが、その兆候がアジャストダイヤルのプッシュであった。

 故障を放置したのは、キタムラでの5年保証を使い切ってしまい、有償修理になることと、アジャストダイヤルのプッシュ機能は、死んでいてもなんとか撮影だけは可能であるからだった。
 因みに現在のカメラのキタムラの延長保証には期間中の金額上限が無くなり、いくらでも何度でも対応してもらえるようになった。当時は一度だけ、購入金額までの上限という制約があった。

 2/9朝に夜行バスで横浜に到着し、原チャリ(100cc)で、息子が出迎えてくれ、息子のアパートの鍵と息子に貸与しているGRD3を2日間だけ借り、息子宛の荷物を渡し、その足で銀座に向かった。行ってみたら9:30〜というので、近場のスタバで30分ほど時間をつぶし、開店と同時に入店し、事情を説明した。

 例の故障修理を依頼をするが、ついでに片ピンである旨を伝え、こうしてGRD3も買って併用しているが、いったい初代にどれくらいの修理コストを注ぎ込んでいいものかを率直に意見をもらおうとしたら、「ピント調整は、バラして組む際には必ずしますので、調整で治るなら、やっておきます」

ここまでなら普通のこと。問題はここから。

 「ただ、調整で修理できない場合もございます。その場合はレンズユニット交換ということになりますが、わざわざ四国からお出かけいただいたこともありますので、私(サービス窓口の男性)の責任で1万4000円かかるところを全て値引き処理させていただきます。」

 まさかの対応である。これを地方のカメラ店の店頭で修理依頼かけたりしたら、かかったぶん満額取られるのは当たり前だ。

 もちろん、私は正直に「葬儀のための上京のついで」に来ただけであることも伝えており、窓口カウンターに座っている間にも、お供えの生花に何と名乗るか友人と電話であれこれ打ち合わせもしていた。

 余談ながら、私のGRDのショット数をチェックした窓口の男性は驚愕した。「あの… どちら(初代・3)も、いつご臨終になってもおかしくありません」と。初代が7万ショット。3が5万ショットだったので、驚いたらしい。インターバルは一度撮影するだけで3千数百カット撮るのだ。それくらいは覚悟している。インターバルが主たる撮影ですと告げると、「じゃあ、まだもう少し持つでしょうか…」

ということで、アジャストダイヤル交換もWeb上に書かれている12700円ではなく、10080円の支払いで、レンズユニットも新品になって2時間後に手許に戻った。 下世話な話だが、これで四国から東京に往復した夜行バス代がほとんどチャラになった。

 翌日の葬儀も3と初代を併用していたが、翌々日は息子にGRD3を返却し、私は初代のみで横須賀にて所用をし、ついでに三笠公園まで散歩したが、その時点で妙にオーバー気味であることに薄々悪い予感を抱いたが、バスの予約もあるので、そのまま東京を後に四国に戻った。

 2/20に久しぶりにしまなみ海道サイクリングをした際にいよいよオーバー気味の確信を持った。全ての露出モードで-2.0EV補正でも+0.3EVっぽい上がりになったので、RICOHの銀座のSSに電話した。

 電話に出てくれたのは直接応対してくれた人だったが、状況を話すと「着払いで送って下さい。もし可能なら画像データを一緒にお送り下されば画像診断しますので、助かります」とのことであった。夕方5時頃にクロネコに持っていった。

 翌日朝、さっそく電話があり、「ご指摘の症状は確認できました。シャッターが所定のタイミングよりも遅れて閉まっていましたので、対策してご返送しますが明日、荷物が到着してもご都合よろしいでしょうか?」ということであった。

 他のメーカーではそっけない伝票が入っていることがほとんどだが、今回はこちらが申し訳なくなるような文面がコメント欄にあった。
「大変ご迷惑をお掛けし誠に申し訳ございませんでした。お詫び申し上げます。」
もちろん送料含めて無償修理である。

 正直、これくらいの対応をしてもらえるならば、なにかと故障の多いGRDシリーズだが、早いうちに4も買おうと思うようになった。

 その昔、大手製造業に居た頃に叩き込まれた理念に、『既存ユーザーに対する営業活動はサービス部門の仕事だ』というのがある。今回のRICOHの対応は、まさに『サービスの鑑』である。

 いずれにしても、今の世の中でもやはり、対面商売は生きていると思う。こちらが代金をもらう側でなく、払う側であっても対面での折衝は大事だと思った。

 もちろん、まさか私自身、修理代金をまけてもらいたいと思ってもいなかった。ただ、正直に使い方やGRDへの愛着を伝えたのは同じ営業経験者同士での腹芸的バトルはあったかも知れない。初代の修理が主たる目的で3はシャッターボタンの反力変更やレンズ全面のロゴを真っ黒に変更する可能性があるから持参したのだが、初代への愛着を伝える重要アイテムであることも間違いのないことだった。

 あと、今後のGRDへの要望も何点か、都合1Hくらいは語ってきたが、それは直接Webから書き込んだほうが効果的だとやんわりとかわされたが、どういうことを伝えたかはまとめておく価値もあるので、別に纏めたい。



・フル装備状態のGRD。見た目はカッコいいが、重くて不便なのであまりこういう装備状態での使用はしない。


・ワイコン装着状態での普段使いのかたち。残念ながらワイコン付で使うことのほうが多い。なぜ、残念かというと、嵩や重量だけではなく、CX5・CX6・GRD4で無理矢理復活させたパッシブAFセンサーが効かないのだ。


・一時的に28mm画角で撮影するときは、ワイコンユニットをバラさずにキャップをする。この延長筒のリアキャップがちゃんとある点については、さすがだと思わざるを得ない。

 自転車に乗るときは、丸裸で、ストラップも外して背中のポケットに入れる。ストラップなしでも取り落としたことはこの6年あまり一度もない。


・裸で提出したSDがRICOHから戻される時はこういうケースに入って戻ってくる(非売品)。