転載記事:より良い人間関係のために…「断り方」の極意

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■Noを言うとカドが立つ?

 人間関係を壊したくないという気持ちが邪魔をして頼みごとを断れなかった、つい無理をして引き受けてしまった……。そんな経験は、皆さんにもあると思います。相手を思いやる気持ちは重要ですが、どちらか一方ばかりが我慢を続ける関係はいつか破たんしてしまいます。短期間ならともかく、長い期間いい関係を続けるためには、Noを言うことも必要です。

 自分だけが我慢すれば済むと考えるかも知れませんが、感じ方や意志を伝えないということには問題もあります。

 例えば、Noを言わないことにより、相手が自分のコミュニケーションスタイルに気づかないということも問題の1つです。伝えることを避けていると、相手は無理を言ってしまうコミュニケーションスタイルに気づきません。今後もあなたや他人に対して同じようなコミュニケーション方法をとるようになります。人の依頼に時間とエネルギーを投入してしまうことにより、自分が力を発揮するべきところに余力がなくなってしまうことも問題です。断れない状態が長く続いてしまうと、自分がやるべきところが手薄になったり、本来なら増員するべきところがわからなくなったりという職場のマイナスもあるのです。

 Noを言うとカドが立つと思う方もいるかも知れませんが、上手な断り方をすれば相手を傷つけることはありません。いい人間関係を続けるためには、相手も自分も大切にするコミュニケーションスタイルが大事になります。

■3つの断りワードを使いこなそう

 同じNoを言うにしても伝え方によって印象は大きく変わります。つい、引き受けてしまうというタイプの人が意を決してNoを言う場合、極端な断り方をしてしまうというケースもあるので特に気をつけるようにしましょう。

 言いづらいことをスッキリ伝え、相手も気持ちよく受け止めることができる状態がベスト。上手に断る手軽な方法としては、定型の断りワードをいくつか暗記する方法があります。覚えておくと便利な断りワードは以下のとおりです。

 □1.残念系
 期待に添えないことが残念だと伝えるワードを使います。

 例)
「せっかく声をかけていただいたのにお引き受けできず恐縮です」
「大変残念なのですが、金曜は終日外出で」
「ぜひやらせていただきたいのですが、月末は繁忙期で」

 □2.デメリット系
 引き受けるとかえってご迷惑をかけることを伝えます。

 例)
「○○の事情で引き受けると逆にご迷惑をおかけしてしまうので」
「私では力不足で逆に足を引っ張る形になりますので」
「できる限り協力させていただきたいのですが、繁忙期にお引き受けしてクオリティを下げてしまっては申し訳ないと思います」

 □3.代替案系
 Noの後に代わりの案を提示します。

 例)
「今週は無理なのですが、来週ならお手伝いできますので」
「ボランティアには参加が叶わないのですが、寄付をさせていただけますか」
「私は残念ながら出席できませんので、代わりに○○さんを」

 どれか1つを使ってもいいですが、場面に合わせて「1.残念な気持ちを伝える」→「2.引き受けるデメリットを伝える」→「3.代わりの案を提案する」と使うようにするとスムーズです。断ることに慣れていない人は、Noを言う時に緊張すると思います。とっさに言葉が出るよう、英会話を覚える感覚で暗記しておくとイザという場面で困りません。Noを言うことで自分も相手も大事にできる状態を目指しましょう。

■Noと一緒にあなたを大切にしていると伝える
 
 断ることと、相手を否定するということはイコールではありません。わかっているけれど言いづらいという場合もあるでしょう。決して相手を軽んじているわけではないことを伝えたい場合もあると思います。そんな時は断りのフレーズに「あなたのことは大切に思っていますよ」という気持ちを織り込んで伝えます。

 例)
「他でもない○○さんの依頼なのに、ご期待に沿えず本当に残念です。とはいえ、中途半端にお引き受けしてもご迷惑をかけてしまいます。月末なのでお手伝いできませんでしたが、ぜひ違う時期に何かご協力できる案件がありましたらお声掛けください」
「残念ながら今回は参加できませんが、△△部長に声をかけていただけたことが本当に嬉しかったです。これに懲りず、ぜひまた誘ってください」

 断りのフレーズの中に自分の気持ちを織り込むことで、Noではあるけれどあなたを大切に思っているという意図を伝えることができます。感情を表す言葉を使うことで、断られる側も自分が否定されている訳ではないとわかり納得しやすくなるというメリットがあります。表情などの非言語コミュニケーションもフルに使いながら想いを伝えましょう。

 プライベートでもビジネスシーンでも、利害関係が対立した時こそ信頼を獲得するチャンス。状況が悪い時でも率直で誠意のある対応ができる人は、大きな信頼を獲得することができます。相手も自分も大切にするコミュニケーションは人間関係の基本なのです。

■Noと言わずにNoを言う裏技
 
 Noという言葉を使わずに、相手にこちらの意志を汲んでもらう裏技として、感情をオーバーに表現するという方法があります。例えば、相手が無理な申し出をしてきた時に、大げさに残念がったり、驚いたり、困ってみたりするという方法があります。

 例)
残念という感情を表現しNoを伝える。
「あー、せっかく○○さんが声を掛けてくれたのに……。あー、何でよりによってその日なんだろう。本当に、残念。あー、もう本当に残念!」

 例)
申し出が驚くほどの内容であることを表現する。
A「大変申し訳ないのですが、今回は○○円で……」
B「えっ!」
A「あっ、やっぱり○○円は失礼ですよね。では……」

 例)
依頼されて困っているということを伝える
「うわー……どうしよう……今週はどうやっても時間を作れそうにないな。前回引き受けた時も部のみんなに迷惑かけちゃったしな……。うわー、困ったなぁ……」

 無理を承知で依頼している相手の場合、こちらの感情や状況を大げさに表現することによって勝手に譲歩してくれることがあります。引き受けてしまう場合でも、無理を言ってしまったという自覚を持ってもらいたいので、こちらの感情や状況だけでも伝えてみてはどうでしょうか。

 いい人間関係を作っていくことと、相手の言いなりになることは違います。長くいいお付き合いをしていくために、時にはNoも言える人になるのは大切。上手な伝え方でいい関係を続けてください。