自転車の挙動:四方山話

mixiロードバイクコミュの中で、『挙動の好みは?』なるトピが立った。珍しかった。即物的な話題ばかりで、うんざりして、ここ1年半くらいはROMだったから。

で、その『挙動の好み』に少々絡んでしまった。私の書き込んだ要点について興味を持ってもらう人たちに、私の話のベースを理解してもらうだけでかなりな文字数を要した。

まあ、40レス以上も入ったので、そろそろというタイミングはとうに過ぎていたとも思うので、尻切れトンボで終えた。

実際には、ここからが具体的な部分で面白いのだがw

実際、初めて自分の考え方を織り込んだジオメトリーでフルオーダーした1978年製フレームは、店主はともかくその店の常連客の先生格の先輩ライダーも完成したとき、珍しく私のその自転車に試乗した。思ったより重くないとハンドルを振り回しながら感想を言ったのを30年以上たった今でも覚えている。

当時のフロントのアライメントはかなり慣例的ジオメトリーだと私は薄々気づいていたので、とにかく手直ししてみたかった。で、その流れが今の大半のロードバイクのトレンドとベクトルは合致していた。だから、そのジオメトリーを元に1986年にリメイクしたクロモリのロードバイクと2008年に買ったコルナゴのアルミとを乗り換えても、ホイールを入れ替えてもさほど違和感なしに乗れていると思っている。

さて、素材が革命的によくなった今の時代とあらゆる意味で不自由だった往時とのことを思うに私も当時は『若気の至り』で、自転車を横からしか見てなかったなと思う。フロントのアライメントなど、どうでもいいのだ。いや、いいに越したことはない。ある程度は落ち着いてまっすぐ走れて、しかし障害物を避けるとき、あるいはコーナーの深いところで、思わぬ回避行動を取らざるを得ない状況に遭遇したとき、そして列車時の先頭交代。軽やかに敏捷に動きたい。でも、それよりももっと大事なのは、自転車を横ばかりから見ないで上から見るべきだった。

当時どうしてそこまで靴先と前輪が接触していたのか。今にして思えばウイップだったのだろうと思う。初オーダーした後、辛うじて復活させたその前のフレームの自転車と取替えひっかえで乗り換えてみて、そのジオメトリーがもたらすアライメントの差とフロントセンターの違いは、数字だけ見れば微々たるものながら、素材もパーツも同じなら本当によくわかる違いがあった。ウイップだ。とにかく古いフロントセンターが短いほうが上りが速い。新しいフロントセンターが長いほうが上りで力が逃げる。そして、登りのような極低速での直進性は当然古いのがよかった。私はコントローラブルなスピードゾーンを高速に振ってしまったのだ。

そんなことがどうでもよくなったのは、フレーム素材がクロモリやチタンのような鋼材ではく、アルミ(正確にはアロイ)と、カーボンフォークが出てからだろうと思う。アルミフレームは乗って驚いたが、やはりというか、対クロモリ比で言えば、体感的には『ウイップが無い』。最初は実にこたえた。ちょい乗りなら速いが、長時間乗ると、クロモリと比べて本当にダレてしまい。走れなくなった。クロモリのように走れるようになるには2年以上の歳月がかかってしまった。骨盤周りから膝周りまで、ありとあらゆる部分の動かし方を体が覚えるのに時間がかかった。ただ、登りのダンシングも含めて固定ローラー台の貢献度はものすごいものがあった。室内で納得いくまで毎日乗ることは、路上のように勢いで走るのとは違い、スキルをマスターするのは路上とは違う効率があると思う。

しかし、アルミに馴染んでから感じるのは、やはりその効率だ。エラい先生方は、雑誌・書籍などで、クロモリを絶賛する。ともするとアルミはクソミソだったりする。確かにそれはそうだと思う。しかし、アルミに乗れるスキルがある程度ついて思うのは、そのスキルのついた体でクロモリに乗るのは、より一層楽で速いと思うのだ。乗ってみたくてアルミを買ったが、無駄ではなかったと思っている。
そして、フレームとかホイールではなく、身体の調子が何よりも肝要だと思うようになったのは、やはり『寄る年波』だなと思う。それも悪くはないと思っている。有り余る体力を持っていてはとても気づかないようなことだろうから。